#超国家主義

現代日本思想体系31 超国家主義の収録作品や内容を紹介

現代日本思想体系31 超国家主義の収録作品や内容を紹介

1963年(昭和38年)から1968年(昭和43年)にかけて筑摩書房から発売された『現代日本思想体系』。この本は全35巻にわたり、近代〜現代の学者や思想家、そして活動家の代表的な作品をカテゴリー別にまとめた全集だ。

現代でもしばしば「日本思想を学ぶなら持っておきたい本」として紹介されるこちらのシリーズだが、現在は絶版となっており、欲しい場合は古本で購入するしかない。それなりに市場に出回っているのでべらぼうに価格が高いというわけでもないが、それでも1冊2,000円前後、全部揃えると7万円はかかるので(しかも全巻まとめて売っている店はほぼない)、読みたいカテゴリのものを細々と集めていくことにした。

今回購入したのは『現代日本思想体系31 超国家主義』。図書館に行けば実物を見れるのだが購入を迷っている方に向けて、収録作品や大体の内容を共有できればと思う。この記事が参考になれば幸いだ。

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※ちなみに筑摩書房はこれ以降も、『戦後日本思想大系』(1968-74年)、『近代日本思想大系』(1974-90年)、『日本の思想』(1968-72年)と様々な全集を発行しているが、いずれも今では絶版となっており、現在新品で入手可能なのは人物ごとの選集『近代日本思想選』のみである。

参考:筑摩書房 創業80周年記念出版 ちくま学芸文庫 新アンソロジー 近代日本思想選

書籍情報

現代日本思想体系31 超国家主義の表紙

私が2,000円で購入した本の実物がこちら。ケースは日焼けしているが、中身は新品同様。サイズはいわゆるハードカバーの専門書と同じくらいだが、表紙がしっかりしているので結構重みがある。

読書案内

タイトル:現代日本思想体系31 超国家主義
編集・解説:橋川文三
出版社:筑摩書房
出版日:1964年11月15日
ページ数:426ページ

中は2段組。漢字と仮名遣いは現代のものに改められているが、北一輝の『日本改造法案大綱』など漢字+カタカナで書かれた本はカタカナのまま収録されている。

現代日本思想体系31 超国家主義の中身

収録作品

編集・解説を担当しているのは政治学者の橋川文三氏。「心情」「行動」「構想」の3部に分かれており、収録作品は以下の通り。

解説 昭和超国家主義の諸相/橋川文三

  1. 心情
    • 死の叫び声/朝日平吾
    • 無限私論/西田税
    • 梅の実/井上日召
    • 『日本精神研究』はしがき/大川周明
  2. 行動
    • 五・一五事件 陳述書/後藤映範
    • 二・二六事件 獄中日記/磯部浅一
    • 丹心録/村中孝次
  3. 構想
    • 日本愛国革新本義/橘孝三郎
    • 自治民政理/権藤成卿
    • 日本改造法案大綱/北一輝
    • 五・一五事件 訊問調書/大川周明
    • 付録 昭和維新論/東亜聯盟同志会

基本的には個人の著作が掲載されているが、「構想」編の最後、付録扱いで収録されている『昭和維新論』だけは、石原莞爾が率いた東亜連盟の著作だ。これとは別に、石原の弟・六郎氏のコメントが記載された「月報」も挟まれていた。

本編の最後には著者略歴のほか、超国家主義参考文献、超国家主義関連年表(1945年まで)も収められている。まさに超国家主義のバイブルとも言える(?)一冊である。